2012年03月27日

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ [DVD]
角川エンタテインメント (2008-11-21)
売り上げランキング: 3420

(2008年/日本)
監督:長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう大森南朋高橋克実

個人的採点:60点/100点
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『西の魔女が死んだ』は『梨木香歩』による同名小説を『長崎俊一』監督によって映画化した作品である。


 『まい(高橋真悠)』は中学に進学してまもなく学校へ行けなくなってしまい、母(りょう)方の祖母(サチ・パーカー)が住む大自然の中の家で暮らすことになる。ある日『おばあちゃん』から魔女の話を聞いた『まい』は魔女修行をすることになるのだが・・・。



 内容的にはよくある話ではあるので、退屈に感じる方も少なくないだろう。個人的には内容に捻りが欲しいとは全く思わないが、全体的に淡すぎて陰陽があまり感じられなかった表現がイマイチであった。またラストシーンは非常に良かったのだが、発声されてしまうと安っぽく興醒めではあった。声なく表現されていたら(有りがちだが『風が通り抜ける』の様な・・・)もっと素敵なシーンになっていたに違いないと思う。


 キャストは『サチ・パーカー』を別にして、特筆すべきものはないが『木村祐一』は頂けなかった。彼のポジションは非常に重要だと思うので、残念でならない。基本的には話す人なので、寡黙な表現は向かないのではないだろうか(下卑た表情はもっと似合いそうではあるが・・・)。


 個人的にはこの作品は私自身の記憶を呼び起こしてしまい、作品とは関係のない所で感動してしまった作品である。『まい』よりはいくらか大きくなってからだが、私も父方の祖母と二人で数ヶ月間暮らした事がある。その田舎の生活はこの作品の様にお洒落なものからは程遠かったが、この作品を観ながらその時の生活を思い出してしまったのだ。ハーブ採りではなくて雑草抜き、ワイルドベリーのジャム作りではなくて菜種油の菜種刈り、もちろん掃除・洗濯・料理は全部私の仕事だった。そんな生活の中、祖母はほとんど自分を語らなかった(そして私も尋ねなかった)ので、この作品の様な柔らかな記憶は全くないが、それでも現在の私を形成する大切な時間であったのは間違いない。


 また『まい』と魔女である『おばあちゃん』との別れも自分に重ね合わせて観てしまった。私は祖母の家を離れる時に祖母と会うのが最後だろうと覚悟したし実際にそうなったが、それでもやはり最後まで祖母との距離は縮められなかった、という思いが今もある。そしてきっと祖母も私に対してそう感じていただろうと思う。今でも私の乗るバスを見送る際に、一度も私の前で涙を見せたことがなかった祖母が涙を流す姿をバスの中から振り返って見た瞬間の衝撃を忘れることが出来ない。私はきっとこの作品のラストシーンの様に、祖母との関係を爽やかに清算することはもう出来ないのだろうが、いつかしっかりと振り返ることはしたいと思った。


 『西の魔女が死んだ』はその柔らかな雰囲気を楽しむ作品であった。残念ながら私には出来なかったが、深く考えずに何となくぼんやりと観る、そういった楽しみ方が合うだろう。





posted by downist at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 邦画 − ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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