Love Letter [DVD]posted with amazlet at 12.03.09キングレコード (2001-03-07)
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(1995年/日本)
監督:岩井俊二
出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、范文雀、中村久美
個人的採点:80点/100点
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『Love Letter』は『岩井俊二』監督・脚本、『中山美穂』主演のラブストーリーである。
舞台は小樽と神戸。神戸に住む『渡辺博子(中山美穂)』は婚約者『藤井樹』の三回忌の後、彼の母に中学時代の卒業アルバムを見せてもらう。『博子』がそのアルバムに載っていた彼が昔住んでいた小樽の住所へ手紙を出してみると、なぜか『藤井樹(中山美穂)』と言う人物からの返事が返ってきてしまう。そして『博子』と『樹』との文通が始まるのだが・・・。
映画を観ている、という気持ちに浸らせてくれる作品であった。『岩井俊二』初の劇場用長編映画であったという事だが、完成度はかなり高いと言えるだろう。『藤井樹』と『渡辺博子』を『中山美穂』が一人で演じており、また学生時代のエピソードを要所で挿んでいることで、かなりファンタジックな印象を受けた。『岩井俊二』作品を大の苦手とする方もいらっしゃるのは理解出来なくもないが、多くの方にとっては感動出来る作品であるのは間違いないだろう。
私はTVドラマをほとんど観ないので『中山美穂』の出演作は初めて観たのだが、物凄く素敵な女優であった。さすがに一時代を築いた女優だな、と思わされた。今あまり女優として観ることが出来ないのが残念な気すらしてしまう。また少年時代の『藤井樹』役の『柏原崇』がかなり存在感があった。学生時代のエピソードの印象の良さは彼の存在感、特にその透明感に因るところが大きかった様に思う。『鈴木蘭々』の演じる役のキャラがイマイチ好きになれなかったのが残念であった。もっと普通の女の子を演じて欲しかったものである。
こういった作品をある程度の年齢になってから観ると余計に感動してしまうという方は少なくないだろう。特に中高生の頃に実らない恋をした様な方には堪らないに違いない。個人的にこの作品で首を傾げたくなるのは、今を生きる『藤井樹』の気持ちの行き先だ。『渡辺博子』は物語を通して『藤井樹』に対する気持ちを昇華したと言えると思うが、対して『藤井樹』はどうだろうか。『渡辺博子』からの手紙が来るまでその存在を意識していなかった『藤井樹』への気持ちは父親の喪失と言うショックによって抑えられていたのかも知れないが、物語を通じてその気持ちに気付かされたに違いない。私には作品の中ではその気持ちの行き先がわからなかった事に若干の納得がいかなかった。もしかしたらその答えは『失われた時を求めて』にある様にも思ったのだが、残念ながら私はその本の内容を知らない。
ところで、実は初めてこの作品を観た時は作業をしながら横目で観ていたので、設定のせいか全く内容が理解出来なかった。しっかりと映画を観ようとした二度目は問題なく理解出来たが、作業をしながら適当に観るのには向かない作品である(作品にとっては横目で観るなどというのは失礼な話だが・・・)。ただ、肩肘張って観る作品かと言うとそういう訳でもなく、どちらかと言うとTVドラマの延長の様な観方が合っている作品だと思う。
『Love Letter』は苦手とする方もいるとは思うが、大抵の方にはオススメ出来る作品であった。特に少女漫画が好きな女性ははまる方が多いだろう。