2011年12月16日

ぜんぶ、フィデルのせい(La Faute à Fidel!)

ぜんぶ、フィデルのせい [DVD]
ギャガ・コミュニケーションズ (2008-10-03)
売り上げランキング: 77390

(2006年/フランス・イタリア)
監督:ジュリー・ガヴラス
出演: ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ、バンジャマン・フイエ

個人的採点:75点/100点
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 『ぜんぶ、フィデルのせい』は『ジュリー・ガヴラス』監督によるヒューマン・ドラマである。

 舞台は1970年代のフランス。父は弁護士、母は雑誌記者で弟の『フランソワ(バンジャマン・フイエ)』と楽しい毎日を送っていた『アンナ(ニナ・ケルヴェル)』だったが、ある日を境に両親は活動家になってしまう。そのおかげで家は狭くなり、家には常に多くの人たちが出入りをし、変な物を食べさせられ、好きだった宗教の授業も受けられなくなってしまった。『アンナ』はそんな生活を不満に思い、不機嫌な日々を送っていたが、ある時、家政婦からすべての原因はフィデルのせいだと聞かされるのだった・・・。

 『アンナ』のふくれっ面が最高にかわいい!個人的にはそれだけで十分に観る価値のある作品であった。観方によっては政治的な主義主張を絡めて観る事も可能だとは思うが、そういった観方をしない方が楽しめる作品であるのは間違いないと思う。もちろん、作品の社会的背景、歴史などを理解して観た方がより楽しめるのは事実だろうが、9歳の子供である『アンナ』視点で物語は常に進行していくので、『アンナ』が不機嫌になってしまう理由は十分に理解出来るだろう。また作品を完全に理解するには共産主義、宗教(カトリック)、女性権利活動などの時代背景を理解している必要があるのかも知れないが、個人的にはそういった細部が気になったら後から調べれば問題ないと思う。

 この作品は『アンナ』の成長を描いたものだ。彼女は一変してしまった生活をすべてフィデルのせいにして、ふくれっ面な日々を過ごしていくのだが、それでも彼女は日々成長している。時には大人が困ってしまう様な素朴な疑問をぶつけてみたり、反抗もするのだが、それが成長に繋がっていくのだ。ある時彼女は自分の『居場所』を理解する。それが彼女の成長の結果であり、作品のラストシーンでは元は大好きだった学校から転校することになってしまうのだが、転校先の学校では自分の『居場所』を見付けることが出来たのである。

 作品の中での『アンナ』の台詞には大人としてドキッとさせられるものがいくつかある。普段から両親に「団結の精神が必要だ」と言われていた『アンナ』が「パパは人マネと団結の精神を間違えないの?」と投げ掛ける疑問は思わず自分を振り返ってしまった。自分に子供が出来た時に、その様な質問をされて押し黙ってしまわないだろうか。適当に誤魔化さずに応えることが出来るだろうか。そう考えると自分も、まだまだわかったフリをせずにしっかりと質問を出来る様でなければいけないな、と思わされてしまった。

 ところで、この作品では『アンナ』もその弟の『フランソワ』も最高に素敵な表情をみせてくれているが、子役ブームと言われている今の日本でこれくらい魅力的な表情をしてくれる子役は果たしているのだろうか。私がそれ程TVドラマを観ていないので正直わからないのだが、CMやドラマのハイライトなどを見る限り、日本の子役は異常に口角の上がった笑顔と、泣き顔がほとんどの様な気がするのである。特にあの疲れる笑顔を見ていると、どうも可哀想になってしまいTVから顔を背けたくなってしまうのである。もちろんそれは役者の問題ではないし、そういった役者がいてもいいとは思うが、色々な表情をみせてくれる役者がしっかりと育っていって欲しいなと、偉そうにも思うのである。

 『ぜんぶ、フィデルのせい』は『アンナ』のふくれっ面が最高にチャーミングな作品であった。また、気軽に観ることが出来る知的なヒューマン・ドラマとも言えるのではないだろうか。



posted by downist at 19:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 洋画 − ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2012年も色々な話題を振りまくこと必須!ネットでは様々な噂が飛び交っていますがその真相を確かめるのか否かはあなた次第です。
Posted by グ リー at 2012年01月04日 10:20
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