ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]posted with amazlet at 12.03.10アスミック (2004-08-06)
売り上げランキング: 3582
(2003年/日本)
監督:犬童一心
出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新井浩文、江口のりこ
個人的採点:80点/100点
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『田辺聖子』の短編小説を『犬童一心』監督によって『妻夫木聡』と『池脇千鶴』主演で映画化した作品である。
大学生の『恒夫(妻夫木聡)』は、アルバイトをしている雀荘で最近話題になっている近所に出没する乳母車を押して歩く婆さんと、ある日偶然出会う。その乳母車には婆さんの孫の『ジョゼ(池脇千鶴)』が乗っていた。それから、『恒夫』と『ジョゼ』との不思議な交流が始まる・・・。
私が映画を良く観る様になったきっかけの作品の一つである。元々、原作は読んでいたのだが、それが『くるり』の音楽で映画化されると言うので観た作品であった。原作には特に思い入れがあった訳ではなかった(むしろ、全く面白さを感じなかった)のと、『池脇千鶴』が以前から好きな女優だったので、気楽に観たのを覚えている。
まず一番この作品を観て思ったのは、なぜ水族館が休みだったのか、と言う事である。先に書いたように原作にこだわりは特にないが、タイトルにもある様に『魚たち』は非常に重要なキーワードだったはずだ。実際に水族館で『魚たち』の泳ぐ様を見たからこそホテルでのシーンに繋がっていくと思うのだが、いかがだろうか。そして、水族館のシーンがない事で『虎』に比べて『魚たち』の印象が非常に薄い様に思えるのだ。そのせいで、何となく作品のタイトルが奇をてらったものの様に見えてしまう気がしてならない。(ちなみに原作では水族館は開いている。)
ラストでの『恒夫』の涙は非常に印象的である。個人的には作品としては、あの結末が一番良かった様に思う。しかし、気持ちの面ではあのシーンで『恒夫』が泣いてくれた事で溜飲を下げられた部分はあったのも間違いない。『恒夫』の選択は致し方のない事だと思うし、原作よりは『恒夫』と言う人間性がしっかりと現れていて好感が持てる。ただ、『香苗(上野樹里)』があの場にいた意味が理解出来なかった。『ジョゼ』から逃げた『恒夫』と『ジョゼ』を叩いてしまった『香苗』が傷を舐め合う為のシーンであったのなら、悲し過ぎる。また、『妻夫木聡』が泣いているシーンでの『上野樹里』の立ち振る舞いはどうにかならなかったのだろうか。恐らく『上野樹里』のせいではないと思うが、非常にもどかしい思いを残したシーンでもあった。
さて、大いに話題になった『ジョゼ』と『恒夫』のセックスシーンであるが、確かに頑張ったのはわかるのだが、イマイチであった。身体に障害がある『ジョゼ』と健常者である『恒夫』のセックスだったからこそ描く意味があったのだと思うし、それと『香苗』や『ノリコ(江口のりこ)』とのセックスを対比させる必要があったのだと思う。しかし、作品における『ジョゼ』は『池脇千鶴』であり、健常者なのである。例えば脚に焦点をあてて撮ったとしても何の意味もないのだ。そう考えると映画の中で執拗に強調する必要があったのかどうか微妙だと思う。ただ、『池脇千鶴』が美しかったのは事実だとも思う。
ところで、この作品を一番最初に観た時には気にしなかったのだが、私の好みの作品には『江口のりこ』の出演率が非常に高いように思う。主演としての出演ではないが、コメディ(例:時効警察)から本作の様な作品にまで幅広く、そしてなかなかに印象的な役を多く演じている様に思う。今後も是非色々な作品で観てみた女優である。
『ジョゼと虎と魚たち』は『映画』が観たい方にお薦めの作品であった。個人的には肩肘張って観る映画ではなく、雰囲気を楽しめば良い映画だと思う。
関連リンク
・『ジョゼと虎と魚たち(和書)』
・『ジョゼと虎と魚たち(サウンドトラック)』

ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track)
- アーティスト: くるり,岸田繁
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2003/11/05
- メディア: CD
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