2010年08月02日

マンデラの名もなき看守(GOODBYE BAFANA)

マンデラの名もなき看守 [DVD]
ポニーキャニオン (2009-04-24)
売り上げランキング: 29585

(2007年/フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南アフリカ)
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズデニス・ヘイスバートダイアン・クルーガー

個人的採点:80点/100点
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 南アフリカで初の黒人大統領である『ネルソン・マンデラ』と、彼が27年にわたる獄中生活の中で出会ったある白人看守との間に生まれた交流を主に白人看守の視点で描いた作品である。

 1968年の南アフリカ共和国は『アパルトヘイト』政策下であった。刑務官の『ジェームズ・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)』は『ネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバート)』の担当に抜擢される。『グレゴリー』は幼い頃の経験によって『マンデラ』の話す『コーサ語』を理解する事が出来た事がその理由であった。当初は任務を忠実にこなしていた『グレゴリー』であったが徐々に『マンデラ』の掲げる理想に興味をもつ様になる。『マンデラ』の掲げる理想に惹かれる事で自身や家族が犠牲になる事と、正しい歴史の一部になりたいと思う気持ちとの間で『グレゴリー』は苦悩するのだが・・・。

 作品としては邦題の通り、『マンデラ』ではなく、その看守である『グレゴリー』が中心である。それなので、『マンデラ』の活動家としての軌跡であるとか、その人間的な魅力の部分に関してはそれ程フォーカスされてはいない。よって、その点において物足りなさを感じる方はいるかもしれない。

 ただ、歴史の転換点においてその場に居合わせた一般人とも言える『グレゴリー』の言動は『マンデラ』のそれ以上に自分にとっては考えさせられるものがあった。長い獄中生活や家族と自身の身に危険が及んだとしても信念を曲げない『マンデラ』の凄さはもちろんなのだが、白人の中で、しかも『マンデラ』たち黒人たちを抑圧する立場にある刑務官である『グレゴリー』が幼い頃の記憶と共に現状に疑問を持ち、静かに独りで行動するその勇気には感動を覚えた。

 『アパルトヘイト』政策については中学生の頃に初めて習った様に記憶している。(小学生の頃にも習っていたのかも知れないが記憶にはない)当時の私は教科書に載っている事が、数年前の話である事に衝撃を覚えた(様な記憶がある)。『マンデラ』の釈放は1990年であり、『アパルトヘイト』政策の撤廃は1994年だ。2010年から考えても、やっと20年前経った出来事である。まだ過去として語れる出来事ではない。事実、南アフリカでは現在でも治安の悪化が叫ばれ『FIFAワールドカップ 南アフリカ大会』の開催も危ぶまれていた。(結局、それ程大きな問題もなく終了した)
そして、『マンデラ』は高齢とは言え、存命である。よって、映画として彼の生涯とその活動を描くのはまだ早いと思う。そう言った意味で、今作の視点が『マンデラ』の看守であった事は、私には非常に良かった様に思えた。

 『FIFAワールドカップ 南アフリカ大会』に沸いた2010年、この作品を観て、もう一度『アパルトヘイト』政策、また今後の南アフリカについて考えてみるきっかけとしてはちょうど良い作品であった。



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posted by downist at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 洋画 − ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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