(2006年/フランス・ベルギー)
監督:エリック=エマニュエル・シュミット
出演:カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル、ファブリス・ミュルジア、アラン・ドゥテー
個人的採点:70点/100点
DMMでレンタルする
『譜めくりの女』にも出演している『カトリーヌ・フロ』の主演するラブコメディ作品である。
夫に先立たれて、一人で息子と娘を育ててきた『オデット(カトリーヌ・フロ)』は作家『バルタザール(アルベール・デュポンテル)』の熱烈なファンであった。ある時、彼に向けてファンレターを書いた事から物語は進んでいく。『バルタザール』は女性には評判の良い作家であったが、最新作をTVで酷評されてしまい、自信をなくしてしまう。そんな彼を慰めたのは『オデット』の手紙であった。彼は癒しを求めて、『オデット』の家を探し当て一緒に過ごす事になるのだが・・・。
主演の『カトリーヌ・フロ』が最高にキュートである。男の私から見てもあの様な女性の年のとり方は非常に羨ましく思える。そんな『カトリーヌ・フロ』が演じているからかも知れないが、『オデット』の生活を見ればかなり平凡であるし、息子がゲイであったり、娘とその彼氏が無職であったりと、決して幸せとは言えないにも関わらず、彼女の笑顔は幸せそのものである。
そして、そんな幸せな表情を表現出来る『カトリーヌ・フロ』も素晴らしいのだが、それと同じ位に演出が良い。彼女が歌い、踊りながら職場や家庭で仕事をする際の音楽だったり、小物までも踊る表現だったりは観ていて楽しくなった。ディズニーのファンタジーチックな、確かに古臭い表現と言えなくはないのだが、作品の雰囲気に非常にマッチしていたと思う。
さて、基本的に私は邦題がそれ程好きではないのだが、この邦題はなかなか巧くつけたな、と思った。もちろん、演出を見れば5cmどころの話じゃないのだが、恋する時のフワフワとした浮遊感、地に脚がつかない雰囲気が良く出ている。非常に可愛らしい表現ではないだろうか。
ところで、所々にキリストの象徴と思われる男性が現れるのだが、その意図は正直掴みかねた。私がキリスト教どころか宗教をほとんど知らない人間だから、という理由もあるかと思うのだが、キリスト教に通じていればわかる表現だったのだろうか。終盤にこの男性が倒れるシーンは恐らく、『オデット』の他者の幸せに対する自己犠牲の終わりを意図しているのだろう、と思ったりもしたのだが、そこまで必要な表現だったのか、疑問である。
最後に、作品に多く挿入され、『オデット』もそれに合わせて踊り出す『ジョセフィン・ベイカー』の歌が非常に良かった。恥ずかしながら知らないアーティストだったので、今後しっかり聴いてみたいと思う。
『地上5センチの恋心』は女性に是非、気軽に観る事をお勧めしたい作品であった。きっと観終わった後に少し、幸せが残っているはずである。
関連リンク
・『J'Ai Deux Amours : Josephine Baker』
・『譜めくりの女』
【洋画 − コメディの最新記事】